「時効」という言葉は、ニュースやドラマで耳にしたことがあるかもしれません。時効には、刑事事件における「刑事時効」と、民事事件における「民事時効」の2種類があります。
今回のブログでは、民事事件における時効、すなわち「民事時効」について解説します。
民事時効の種類
民事時効には、大きく分けて以下の2種類があります。
* 取得時効: 権利の取得に関する時効
* 消滅時効: 権利の消滅に関する時効
それぞれの時効について、以下で詳しく解説していきます。
取得時効とは
取得時効とは、「所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と」他人の物を一定期間占有することで、その物の所有権を取得できる制度です。
取得時効が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。
* 所有の意思をもって占有すること
* 平穏に、かつ、公然と占有すること
* 一定期間占有を継続すること
占有期間は、占有を開始した時の善意・悪意、過失の有無によって異なります。
* 善意・無過失の場合:10年
* 悪意または有過失の場合:20年
例えば、隣の家の土地との境界線を勘違いして、自分の家の土地だと思い込んで10年間占有していた場合、取得時効が成立する可能性があります。
消滅時効とは
消滅時効とは、権利を行使しない状態が一定期間継続することで、その権利が消滅する制度です。
消滅時効が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。
* 権利を行使できる状態にあること
* 権利を行使しない状態が一定期間継続すること
消滅時効の期間は、権利の種類によって異なります。
* 債権の場合:権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年
* 所有権の場合:消滅時効はありません。
例えば、貸したお金を返済期日から5年間請求しなかった場合、消滅時効が成立し、お金を返してもらう権利が消滅する可能性があります。
時効の援用とは
消滅時効が成立した場合でも、自動的に権利が消滅するわけではありません。消滅時効の利益を受けるためには、「時効の援用」という手続きを行う必要があります。
時効の援用とは、消滅時効が成立したことを主張し、権利を消滅させる意思表示のことです。
時効の援用は、内容証明郵便など、証拠が残る方法で行うことが推奨されます。
時効の注意点
時効は、権利関係を安定させるための制度ですが、注意すべき点もあります。
* 時効期間の起算点や期間は、権利の種類や状況によって異なる
* 時効の援用が必要
* 時効の成立を阻止するための「時効の更新(以前は中断)」「時効の完成猶予」という制度がある
時効について疑問がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
民事時効には、取得時効と消滅時効の2種類があります。時効は、権利関係を安定させるための重要な制度ですが、複雑な側面もあります。
時効についてお困りの際は、弁護士にご相談ください。
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