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離婚における親権:子どもの最善の利益のために

執筆者の写真: 弁護士 石塚 誠弁護士 石塚 誠

離婚は、夫婦にとって辛い決断であると同時に、子どもたちの人生にも大きな影響を与える出来事です。特に、親権の帰属先は、子どもたちの将来を左右する重要な問題です。


現行法における親権の考え方


現在の日本の法律では、離婚後の親権は父母のどちらか一方のみが持つ「単独親権」と定められています。親権とは、子どもの監護・教育、財産管理など、子どもの成長に必要な権利義務の総称です。

親権者を決める際には、子どもの福祉を最優先に考え、以下の要素を総合的に考慮します。


* 子どもの年齢と発達状況: 子どもの年齢が低いほど、母親との結びつきが重視される傾向にあります。


* 子どもの意思: 15歳以上の子どもは、親権について自分の意見を述べることができます。


* 父母の監護能力: 経済状況、生活環境、健康状態、子どもへの愛情など、子どもを適切に育てられる能力があるかどうかが考慮されます。


* 継続性: 子どもがこれまで築いてきた生活環境を継続できるかどうかも重要な要素です。


* 兄弟姉妹との関係: 兄弟姉妹は、できる限り同じ親が監護することが望ましいとされています。


親権獲得のために弁護士ができること


弁護士は、親権獲得に向けて、以下のようなサポートを提供します。


* 法的なアドバイス: 親権に関する法的知識や裁判例に基づき、適切なアドバイスを行います。


* 証拠収集: 親権者にふさわしいことを示す証拠(監護実績、経済状況、子どもの意向など)を収集します。


* 相手方との交渉: 親権について、相手方と粘り強く交渉します。


* 調停・裁判: 交渉がまとまらない場合は、調停や裁判で親権を争います。


共同親権導入による変化


2024年5月17日に、離婚後も父母双方が親権を持つことができる共同親権を導入するための民法などの改正案が可決、成立しました。2026年までには新しい制度が開始される見通しです。

共同親権とは、離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ制度です。共同親権導入により、以下のような変化が予想されます。


* 父母の協力体制の構築: 離婚後も、父母が協力して子育てを行う必要性が高まります。


* 子どもの意思の尊重: 子どもの意見がより重視されるようになる可能性があります。


* 養育費や面会交流の取り決め: 共同親権を選択する場合、養育費や面会交流について、より詳細な取り決めが必要になります。


親権問題で悩んだら弁護士にご相談ください


親権問題は、離婚の中でも特に複雑で感情的な問題です。弁護士は、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、子どもの最善の利益のために、法的知識と経験に基づいて適切なアドバイスとサポートを提供します。


親権問題で悩んでいる方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。


注意点


* 共同親権はまだ導入前なので、具体的な運用方法や注意点は今後の情報をご確認ください。


* 本記事は一般的な情報提供であり、個別のケースについては弁護士にご相談ください。

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