パワーハラスメント(パワハラ)とは、職場における優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるものをいいます。
パワハラの6類型
厚生労働省は、パワハラの典型的な行為類型として、以下の6つを挙げています。
身体的な攻撃:殴る、蹴る、物を投げつけるなど
精神的な攻撃:脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など
人間関係からの切り離し:隔離、仲間外し、無視など
過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害など
過小な要求:業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないことなど
個の侵害:私的なことに過度に立ち入ることなど
パワハラの違法性
パワハラは、民法上の不法行為(民法709条)に該当する可能性があり、会社は労働契約上の安全配慮義務(労働契約法5条)に違反したとして、損害賠償責任を負うことがあります。
パワハラが違法となるかどうかは、具体的な言動や状況を総合的に考慮して判断されます。裁判例においては、以下のような要素が考慮されています。
行為者の地位や関係性
行為の目的や態様
被害者の受けた精神的・肉体的苦痛の程度
社会的相当性の有無
パワハラを受けた場合の対応策
パワハラを受けた場合には、以下のような対応策が考えられます。
証拠の収集:パワハラの具体的な内容、日時、場所、目撃者などの記録、録音データ、メールなどを保存します。
社内の相談窓口に相談:会社に相談窓口がある場合は、そちらに相談します。
労働組合や弁護士に相談:社内の相談窓口で解決しない場合や、会社に相談しにくい場合は、労働組合や弁護士に相談します。
労働基準監督署に相談:会社が適切な対応を取らない場合は、労働基準監督署に相談することもできます。
裁判や労働審判:最終的な解決手段として、裁判や労働審判を申し立てることも検討します。
慰謝料の相場
パワハラの慰謝料の相場は、具体的な事案によって大きく異なりますが、一般的には数十万円から数百万円程度となることが多いです。
慰謝料の金額を左右する要素としては、以下のようなものが挙げられます。
パワハラの悪質性・継続性
被害者の受けた精神的・肉体的苦痛の程度
会社の対応
被害者の社会的地位
まとめ
パワハラは、被害者の心身に深刻な影響を与えるだけでなく、会社の社会的信用も大きく損なう行為です。パワハラに悩んでいる方は、一人で抱え込まずに、専門機関に相談するなどして、適切な対応を取りましょう。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。具体的な法的判断や対応については、弁護士にご相談ください。
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