top of page

不貞行為に基づく慰謝料請求のポイントについて

執筆者の写真: 弁護士 石塚 誠弁護士 石塚 誠

不貞行為による慰謝料請求は、精神的な苦痛に対する賠償を求めるもので、複雑な法的側面を含んでいます。ここでは、弁護士の視点から、慰謝料請求のポイントと相場について解説します。


1. 慰謝料請求の要件


慰謝料請求が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。


* 不貞行為の事実: 配偶者と第三者の間に肉体関係があったことを証明する必要があります。


* 故意または過失: 不貞行為を行った者が、相手が既婚者であることを知っていた、または知り得た状況であったことが必要です。


* 権利侵害: 不貞行為によって、婚姻共同生活の平和が侵害されたと認められる必要があります。


2. 証拠収集の重要性


慰謝料請求において、最も重要なのは証拠です。有効な証拠となりうるものは以下のとおりです。


* 肉体関係を示す証拠: ラブホテルへの出入り写真、メールやSNSのやり取りなど。


* 不貞行為の日時・場所を特定する証拠: 探偵の調査報告書、クレジットカードの利用明細など。


* 配偶者と第三者の関係性を示す証拠: 親密な写真、第三者の証言など。


3. 慰謝料の相場


慰謝料の金額は、個々のケースによって大きく異なりますが、一般的には以下の要素が考慮されます。


* 不貞行為の期間・回数: 長期間にわたる場合や、複数回にわたる場合は高額になる傾向があります。


* 婚姻期間・夫婦関係: 婚姻期間が長い場合や、夫婦関係が良好であった場合は高額になる傾向があります。


* 不貞行為の発覚後の対応: 不貞行為者が反省や謝罪を示さない場合、または開き直る場合は高額になる傾向があります。


* 離婚の有無: 離婚に至った場合は、慰謝料が増額される可能性があります。


* 子どもの有無: 未成年の子供がいる場合には、慰謝料が増額される可能性があります。


一般的に、不貞行為の慰謝料相場は50万円から300万円程度とされています。


4. 慰謝料請求の流れ


慰謝料請求は、以下の流れで進めるのが一般的です。


* 証拠収集: 上記のような証拠を集めます。


* 内容証明郵便の送付: 配偶者と不貞行為の相手に対し、慰謝料を請求する旨を通知します。


* 示談交渉: 当事者間で慰謝料の金額や支払い方法について話し合います。


* 訴訟提起: 示談交渉が決裂した場合、裁判所に訴えを起こします。


* 裁判: 裁判所が証拠や主張に基づいて慰謝料の金額を決定します。


5. 弁護士に相談するメリット


慰謝料請求は、法的知識や交渉スキルが必要となるため、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。


* 適切な証拠収集のサポート: 弁護士は、どのような証拠が有効か、どのように証拠を集めればよいかについてアドバイスできます。


* 有利な示談交渉: 弁護士は、法的知識と交渉スキルを駆使して、依頼者にとって有利な条件で示談を成立させることができます。


* 裁判での的確な主張・立証: 弁護士は、裁判で依頼者の権利を適切に主張・立証し、有利な判決を得ることができます。


* 精神的なサポート: 弁護士は、依頼者の精神的な負担を軽減し、問題解決に向けてサポートできます。


6. 注意点


* 慰謝料請求には時効があります。不貞行為を知ってから3年、または不貞行為から20年で請求権が消滅します。


* 不貞行為の証拠は、慎重に収集・保管する必要があります。違法な手段で収集した証拠は、裁判で認められない可能性があります。


* 慰謝料請求は、感情的になりやすい問題です。弁護士に相談し、冷静に対応することをおすすめします。


参考情報


* 慰謝料請求について


* 不倫慰謝料の相場|310件の裁判例から算出: https://en-furin-isharyou.jp/contents/3/


* 不貞行為の慰謝料はどう計算する?慰謝料を決める要素と請求方法: https://omiya.adire.jp/column/978/


* たった一度の不倫で慰謝料は請求できる?不倫の回数・期間と慰謝料の関係 - 株式会社Agoora:https://agoora.co.jp/rikon/money/once-immorality-solatium.html


* 不貞行為の慰謝料をケース別に計算【離婚の有無・不倫の期間など請求金額を増減する要素も紹介】:https://askpro.co.jp/ricon/2602.html


不貞行為による慰謝料請求は、法的知識が必要となる複雑な問題です。弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

最新記事

すべて表示

養育費の放棄は原則無効?法的効果と算定への影響

養育費の放棄について、「もう養育費はいらない」と口約束で済ませていませんか?実は、養育費の放棄は原則として無効であり、後々トラブルに発展する可能性があります。本記事では、養育費放棄の法的効果と、算定に与える影響について解説します。 養育費放棄の法的効果:原則無効...

離婚時に住宅ローンが残っている場合の財産分与について

住宅ローンの残る不動産の財産分与は、離婚時の財産分与の中でも複雑な問題の一つです。特に、住宅ローンの残債と不動産の評価額の関係によって、財産分与の方法が大きく変わってきます。ここでは、オーバーローンとアンダーローンの場合に分けて、財産分与の方法と寄与度の考慮について解説しま...

離婚における親権:子どもの最善の利益のために

離婚は、夫婦にとって辛い決断であると同時に、子どもたちの人生にも大きな影響を与える出来事です。特に、親権の帰属先は、子どもたちの将来を左右する重要な問題です。 現行法における親権の考え方 現在の日本の法律では、離婚後の親権は父母のどちらか一方のみが持つ「単独親権」と定められ...

Comments


bottom of page