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交通事故:人身事故届は出すべき?ケース別の判断と注意点

執筆者の写真: 弁護士 石塚 誠弁護士 石塚 誠

交通事故に遭われた際、怪我をされた場合は「人身事故」として警察に届け出る必要があります。しかし、軽微な事故の場合、「物損事故」として処理することも可能です。どちらの対応を選ぶべきか、ケース別に解説します。


人身事故届とは


交通事故で人が死傷した場合、警察に提出する届出です。物損事故(物の損害のみ)とは区別されます。


人身事故届を出すべきケース


* 怪我がある場合


* たとえ軽微な怪我でも、後遺症のリスクがあるため。診断書を提出し、人身事故として届け出るべきです。


* 相手の過失が大きい場合


* 信号無視や飲酒運転など、相手の過失が大きい場合は、刑事・行政処分の対象となる可能性があり、自身の正当性を主張するためにも必要です。


* 後遺障害が残る可能性がある場合


* 将来的な損害賠償請求のため、後遺障害等級認定を受けやすくする必要があります。


* 自賠責保険・任意保険を利用する場合


* 保険金請求に交通事故証明書が必要となり、人身事故届を出すことでスムーズに発行されます。


* 過失割合に争いがある場合


* 警察による実況見分調書が作成され、客観的な証拠として過失割合の判断に役立ちます。


人身事故届を出さなくても良いケース


* 軽微な怪我で、当事者間で合意ができている場合


* 擦り傷や打撲などの軽微な怪我で、示談交渉が成立し、合意ができている場合。ただし、後日後遺症が出た場合に備え、示談書にその旨を記載することが重要です。


* 自損事故で、自分のみが負傷した場合


* 単独で電柱に衝突したなどの場合。ただし、保険を利用する際は人身事故届が必要になることがあります。


* 怪我の程度が非常に軽く、治療の必要がない場合


* ごく軽微な擦り傷などで、病院での治療も不要な場合。ただし、自己判断は危険なため、不安があれば医師の診断を受けるべきです。


人身事故届を出さない場合の注意点


* 後遺症害認定におけるリスク


* 後日、後遺症が残った場合に適切な認定を受けられない可能性があります。


* 過失割合の認定


* 実況見分調書がないと、過失割合の認定で不利になる可能性があります。


弁護士からのアドバイス


* 少しでも迷ったら、弁護士に相談することをおすすめします。


* 特に、怪我が重い場合、後遺症の可能性がある場合、相手の過失が大きい場合、過失割合に争いがある場合、保険請求をする場合は、必ず人身事故届を提出しましょう。


* 軽微な怪我でも、後日症状が悪化することがあります。物損事故で届け出た場合でも、診断書を提出することで人身事故に切り替えることも可能です。


免責事項


* この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。


* 具体的な法的判断については、必ず弁護士にご相談ください。

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