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強制執行の種類と流れについて

執筆者の写真: 弁護士 石塚 誠弁護士 石塚 誠

強制執行とは?


強制執行とは、債務者が債務(金銭の支払い、不動産の明け渡しなど)を履行しない場合に、債権者が裁判所の力を借りて強制的に債務を履行させる手続きです。


強制執行の種類


強制執行は、対象となる財産や債務の内容によって、大きく以下の種類に分けられます。


* 金銭執行:債務者の財産(預金、給与、動産、不動産など)を差し押さえ、換価して債権の回収を図る手続きです。


* 不動産執行:債務者が所有する不動産を差し押さえ、競売にかけて債権を回収する手続きです。

* 動産執行:債務者が所有する動産(家財、貴金属など)を差し押さえ、競売にかけて債権を回収する手続きです。


* 債権執行:債務者が第三者に対して有する債権(預金、給与など)を差し押さえ、債権の回収を図る手続きです。


* 非金銭執行:金銭の支払い以外の債務(建物の明け渡し、物の引き渡しなど)を強制的に履行させる手続きです。


* 代替執行:債務者が行うべき行為を、第三者に代替させて債務者の費用で実行する手続きです。


* 間接強制:債務者が債務を履行するまで、一定の金銭を課すことで心理的に圧迫し、債務の履行を促す手続きです。


* 明け渡し・引き渡し執行:債務者から特定の物の占有を剥奪し、債権者に引き渡す執行です。


強制執行の一般的な流れ


強制執行は、一般的に以下の流れで進みます。


* 債務名義の取得:確定判決、公正証書など、強制執行の根拠となる文書(債務名義)を取得します。


* 執行文付与の申立て:債務名義に執行力を付与するため、裁判所に執行文付与の申立てを行います。


* 強制執行の申立て:対象となる財産や債務に応じて、適切な強制執行を裁判所に申し立てます。

* 差押え:裁判所の執行官が債務者の財産を差し押さえます。


* 換価・債権回収:差し押さえた財産を競売などで換価し、債権の回収を図ります。


* 債権の弁済:換価代金から債権者に債権額が弁済されます。


強制執行の注意点


* 費用:強制執行には、申立て費用、執行費用、弁護士費用などがかかります。


* 時間:強制執行は、債務者の財産状況や手続きの複雑さによって、時間がかかる場合があります。


* 回収可能性:債務者に財産がない場合や、財産を隠匿している場合などは、債権を回収できない場合があります。


* 債務者の抵抗:債務者が強制執行に抵抗する場合、手続きが複雑化したり、時間がかかったりすることがあります。


* 弁護士への相談:強制執行は専門的な知識と経験が必要となるため、弁護士に相談することをおすすめします。


まとめ


強制執行は、債権を回収するための強力な手段ですが、費用や時間、回収可能性などの注意点もあります。弁護士に相談し、適切な手続きを選択することが重要です。


免責事項


このブログ記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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