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離婚時の財産分与で損をしないために|弁護士が教える注意点

執筆者の写真: 弁護士 石塚 誠弁護士 石塚 誠

離婚は、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかる出来事です。しかし、離婚後の生活をスムーズに送るためには、財産分与についてしっかりと話し合い、合意することが重要です。

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することをいいます。財産分与の対象となる財産は、現金や預貯金、不動産、株式、保険など多岐にわたります。

しかし、財産分与は、対象となる財産の範囲や評価方法、分与割合など、複雑な問題を含んでいます。そのため、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。


この記事では、弁護士の視点から、離婚時の財産分与における注意点について解説します。


1. 財産分与の対象となる財産を正確に把握する


財産分与の対象となる財産は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産です。したがって、婚姻前から所有していた財産や、相続や贈与によって得た財産は、原則として財産分与の対象にはなりません。

しかし、これらの財産であっても、婚姻中に夫婦の協力によって維持・増加したと認められる場合には、財産分与の対象となることがあります。

財産分与の対象となる財産を正確に把握するためには、以下の点に注意しましょう。


* 預貯金や株式などの金融資産については、過去の取引履歴などを確認する


* 不動産については、登記簿謄本や固定資産評価証明書などを確認する


* 保険については、保険証券や保険会社からの通知などを確認する


2. 財産の評価方法について合意する


財産分与の対象となる財産の評価方法は、財産の種類によって異なります。たとえば、不動産であれば、不動産鑑定士による評価や、不動産業者による査定などを参考にすることができます。

しかし、評価方法によっては、評価額に差が生じることがあります。そのため、夫婦間で十分に話し合い、合意できる評価方法を選択することが重要です。


3. 財産分与の割合について合意する


財産分与の割合は、原則として2分の1とされています。しかし、夫婦の貢献度によっては、異なる割合となることもあります。

たとえば、一方が専業主婦(夫)であった場合、もう一方の収入によって生活を支えられていたと考えられるため、専業主婦(夫)の貢献度も考慮されます。

財産分与の割合について合意する際には、以下の点に注意しましょう。


* 夫婦の貢献度を具体的に説明できるように、資料などを準備しておく


* 過去の裁判例などを参考に、適切な割合を検討する


4. 財産分与の方法について合意する


財産分与の方法としては、以下のようなものがあります。


* 現物分割:財産をそのまま分割する方法


* 代償分割:一方がある財産を取得する代わり

に、もう一方に金銭などを支払う方法


 * 換価分割:財産(主に不動産)を売却し、売却代金を分ける方法


どの方法を選択するかは、財産の種類や金額、夫婦の希望などによって異なります。夫婦間で十分に話し合い、合意できる方法を選択することが重要です。


5. 財産分与の合意内容を書面に残す


財産分与について合意した内容は、必ず書面に残しましょう。口約束だけでは、後々トラブルになる可能性があります。

合意書には、以下の内容を記載するようにしましょう。


* 財産分与の対象となる財産


* 財産の評価方法


* 財産分与の割合


* 財産分与の方法


* 合意書を作成した日付


* 夫婦それぞれの署名と捺印


まとめ


離婚時の財産分与は、複雑で難しい問題を含んでいます。そのため、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。弁護士は、あなたの状況に合わせて、財産分与に関する様々なサポートを提供することができます。


弁護士に相談するメリット


* 財産分与の対象となる財産を正確に把握できる


* 財産の評価方法や分与割合について適切なアドバイスを受けられる


* 夫婦間の交渉を有利に進めることができる


* 合意書の作成をサポートしてもらえる


もし、離婚を検討されている場合は、早めに弁護士に相談し、財産分与についてしっかりと準備しておきましょう。


免責事項:


このブログ記事は、一般的な情報提供を目的としており、法的助言を構成するものではありません。個別の法的問題については、必ず弁護士にご相談ください。

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