top of page

養育費の放棄は原則無効?法的効果と算定への影響

執筆者の写真: 弁護士 石塚 誠弁護士 石塚 誠

養育費の放棄について、「もう養育費はいらない」と口約束で済ませていませんか?実は、養育費の放棄は原則として無効であり、後々トラブルに発展する可能性があります。本記事では、養育費放棄の法的効果と、算定に与える影響について解説します。


養育費放棄の法的効果:原則無効


養育費は、子どもの権利であり、親の都合で放棄できるものではありません。そのため、親同士が養育費を放棄することで合意しても、法的には無効となる可能性が高いです。


* 子どもの権利保護:


* 民法では、親は子どもの扶養義務を負うと定められています。養育費は、その義務を果たすためのものであり、親の合意によって免除されるものではありません。


* 公序良俗違反:


* 子どもの権利を著しく侵害する養育費放棄は、社会の秩序や道徳に反する行為とみなされる場合があります。


養育費の算定:放棄による不利益の可能性


養育費の放棄は原則無効ですが、算定においては、以下のような不利益を被る可能性があります。


(非親権者側の不利益)


* 過去の養育費請求:


* 養育費を放棄していた期間の養育費を、後から請求される可能性があります。


* 放棄の合意が書面で残っていない場合、言った言わないの争いになることも考えられます。


(親権者側の不利益)


* 養育費の減額:


* 養育費を放棄していた期間、子どもが経済的に困窮していなかったと判断される場合があります。


* その結果、本来受け取れるはずの養育費よりも減額される可能性があります。


* 裁判所の心証:


* 養育費の放棄は、子どもの利益を軽視する行為と受け取られる可能性があります。


* 養育費に関して裁判になった場合に裁判官の心証を悪くする可能性があります。


養育費に関する注意点


* 口約束は避ける:


* 養育費に関する合意は、必ず書面で残しましょう。


* 専門家に相談:


* 養育費に関する不安や疑問がある場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。


* 子どもの最善の利益:


* 養育費の金額を決める上で最も重要なことはお子様の健全な育成を第一に考えることです。


まとめ


養育費の放棄は、法的には原則無効ですが、算定においては不利益を被る可能性があります。養育費に関する合意は、必ず書面で残し、専門家に相談することをおすすめします。

最新記事

すべて表示

離婚時に住宅ローンが残っている場合の財産分与について

住宅ローンの残る不動産の財産分与は、離婚時の財産分与の中でも複雑な問題の一つです。特に、住宅ローンの残債と不動産の評価額の関係によって、財産分与の方法が大きく変わってきます。ここでは、オーバーローンとアンダーローンの場合に分けて、財産分与の方法と寄与度の考慮について解説しま...

離婚における親権:子どもの最善の利益のために

離婚は、夫婦にとって辛い決断であると同時に、子どもたちの人生にも大きな影響を与える出来事です。特に、親権の帰属先は、子どもたちの将来を左右する重要な問題です。 現行法における親権の考え方 現在の日本の法律では、離婚後の親権は父母のどちらか一方のみが持つ「単独親権」と定められ...

養育費の変更について

養育費の増額・減額は、子どもの健やかな成長を支える上で重要な問題です。弁護士として、養育費の増額・減額の要因や手続きについて解説します。 養育費の増額・減額の要因 養育費は、基本的に離婚時の合意や裁判所の決定に基づいて支払われますが、その後、以下のような事情の変化が生じた場...

Commenti


bottom of page